さくら、咲きました。感想。
![]() |
さくら、咲きました。 | |
SORAHANE 2012/8/24 | ||
- これは、私たちの中に生まれた、ほんの小さな、春の物語。 | ||
原画 | 秋月つかさ、腹ぺ娘 | |
シナリオ | ポチくん、甲二、砥石大樹、他 | |
OP/ED | Tinkerbell sound label |
![]() |
プラス ポイント |
シナリオプレイヤー機能 ダウンロード配信シナリオ有 | |||||||
演出が良い システムが良い ストーリー重視 トゥルー有 | |||||||||
マイナス ポイント |
少々重い(スペック的な意味で) 前作と比べてトゥルーが弱い | ||||||||
Story | 75 | ![]() |
|||||||
シナリオ | 75 | テキスト | 80 | 世界観 | 70 | ボリューム | 80 | ||
Graphic | 80 | ![]() |
|||||||
立ち絵 | 75 | イベントCG | 80 | 背景 | 85 | 塗り | 90 | ||
Sound | 90 | ![]() |
|||||||
ボーカル曲 | 80 | BGM | 90 | 声 | 70 | 曲演出 | 85 | ||
System | 90 | ![]() |
|||||||
機能 | 95 | 演出 | 90 | 設定項目 | 85 | UI | 85 | ||
Other | 75 | ![]() |
|||||||
キャラクター | 80 | Hシーン | 75 | ゲーム性 | - | 個人的補正 | 80 |
あくまで個人的な感想です。また、点数は公開後も若干上下することがあります。
"レビュー"などという大それた物ではなく、あくまで感想という事でひとつ。
点数は主観によるものです。
以下追記から本文。
ネタバレが含まれます。
なかなか面白かった、が、シナリオ面ではAQUAには及ばず。
特にトゥルーシナリオが若干弱いのが残念。
"細かいところに目を瞑れば"良作か。
共通、個別ルートは前作より良い出来。
テキストのクオリティも上がっており、そういった面では前作より進化していると思う。
また、サブキャラクターのルートも手抜きではなくしっかりしており、ボリューム的にも不満はない。
同メーカーの次回作にも期待が持てる出来ではあったと思う。
正直なところ、複数ライターで6人という時点で不安で仕方なかったのだが、思ったよりもいい出来で安心した。
いつも通り順番に書いていきます。

ルート構成は、共通ルートから都、美羽、つばめのメインヒロインルートに分岐。
つばめシナリオの後にさくら編、桜編(トゥルー)ルートがあり。
更に都ルート序盤で奏ルート、美羽ルート序盤で瀬利華ルート、つばめルート序盤ですみれルートへ分岐する。
ただし、ガチガチにルートロックがかかっており、都ルート→美羽ルート→つばめルート→"さくら"編→"桜"編→
→奏ルート・瀬利華ルート(この2人のみ攻略順が自由)→すみれルート
の順番でしか読めません。
個人的にルートロックは嫌いではないのですが、各サブヒロインルートがメインヒロインのルートから分岐するという構成についてはあまり好きになれませんでした。
特に瀬利華ルートなんかは完全に美羽のフラグを立てたあとで分岐するので、心苦しくて仕方なかった。
共通ルートはそこそこ。
物語の導入部分としては良かったのではないですかね。
都ルートは、個人的には微妙だった。
展開がありきたりで、次の展開がわかりやすい、というかほぼオチまで予想通りの流れ。
まあよく言えば王道。
ただ、さくら、咲きました。という作品の中で一番最初にプレイするルートなので、そういった意味では最初にこのルートを持って来たのは良かったのかもしれない。
美羽ルートは凄く良く出来ていたと思う。
個人的にはこの作品の中で一番いいルートだった。
美羽というキャラクターが立っていて、読んでいて面白く、なおかつシナリオもとても良かった。
特に終わり方がとても綺麗で、感動した。
このシナリオに限っては90点以上の出来。
つばめシナリオに関しては、次のさくらシナリオへの繋ぎ的な印象が強い。
つばめはかわいいしシナリオもまあ面白いが、起承転結の転あたりでブチ切られる。
トゥルーは、一言で言うなら"弱い"。
今回のメンテーマ的にはこれでいいとは思うのだが、もっと深く踏み込んで欲しかった。
せっかく、美羽の父親がトコシエ新薬の開発者だとかすみれやさくらの境遇なんかの設定があるのだから、もっとトコシエ新薬開発までの話だとか、トコシエ技術を放棄することにしたNAXAの決定までの経緯だとかを深く踏み込んで語るとか・・・
ただ、シンプルに主人公とヒロイン周りの話だけに留めることによって、この作品のテーマを明確にすることには成功していると思うし、もし今後おまけシナリオなどでその部分が補完されれば、この作品の評価も変わるかもしれない。
また、最終章の桜編に関しては、とってつけたような短い内容で、正直これなら必要なかったのではないかと思う。
また、世界観の作りこみが少々甘いというか、主人公の周辺以外の部分が語られなさ過ぎるのも気になる。
サブヒロインルートに関しては可も無く不可もなく。
ただし、手抜きなどではなく、しっかりとそのキャラの話があり、普通の作品のメインヒロインルート並みにしっかりしたルートにはなっている。
中でもすみれルートはなかなかいい出来。ただ、最後にルートロックする意味は果たしてあったのだろうか。
また、Hシーンなどは、メインヒロイン3人は各3回づつ、サブヒロインは2回です。
一応ヒロイン6人構成なのでボリュ-ム的に及第点かなと思います。
キャラクターに関しては、前作AQUAよりはよく練られていると思う。
美羽やすみれは、キャラクター設定にシナリオが良く絡んでいて秀逸なキャラ。
とくに美羽はルートの出来が良かったのもあって多分強く印象に残ると思われる。
元気系幼馴染のつばめもかわいいが、個人的には幼馴染枠としては前作の千紗のほうが好きかもしれない。
でもここは幼馴染枠をTRUEにしてくれるからいいね。わかってるメーカーだわ。この方針で今後も行って欲しい。
でも個人的には奏ちゃんが一番好きかな。特に特筆すべきキャラではないけどあざとい。(褒め言葉)
なんだかんだでサブキャラまでルートがあるのは有難かった。

CGの話。
背景がとても印象に残る出来。
塗りがとても綺麗で感動。
たとえばこんなん→■
キャラクターの絵は、結構違和感を感じるシーンは多い。
特に、立ち絵なんかは前作よりも関節とかの違和感が目立っている絵が多い気がする。
ただ、個人的には凄い好きな絵師だし、かわいいキャラクターを書く人なので今後も頑張って欲しい。
表情の差分はどれもかわいい。
SDキャラは前作と同じで腹ぺ娘さん。
こちらの作画はそこそこ安定している。
というかSDの美羽可愛すぎやろ・・・

自分は、新しい作品をやるたびに、音楽がいい、音楽はいい、と言いまくっているので余り参考にならないかもしれないが、この作品も音楽は凄く良かった。
ただ、正直ここの(ティンカーベルサウンドレーベルの)曲はBGM向きで、ボーカル曲にはあまり向いていない気がする。
前作AQUAの曲もそうだったが、オフボーカルやアレンジなどは物凄く良いが、ボーカルが入ると「うーん」という曲が多い
ただ、エンディングテーマの"春と奇跡"はなかなか秀逸な出来。
オープニングの2曲は、ピアノソロアレンジが凄く良かった。
また、BGMの掛かるタイミングやチョイスもそこそこ良い。
クライマックスのここぞというシーンで音量が大きめのBGM「Forget to prime Last World」が掛かる演出は凄く好き。
また、特典のサウンドトラックCDは二枚組のかなりしっかりしたもので、ボーカル曲のFULLも入っており(作中の音楽回想モードでもボーカル曲のFULLが聞ける。めずらしいタイプ)、クオリティも高く、これだけで3000円くらいで売っても良い出来なので、かなりお得だと言えるだろうと思う。
声に関しては、自分はあまり気にしないタイプなので多くは書かないが、全体的な出来は中の下くらいかな・・・という感じ。
悪くは無いが特にいいとも思えない。

前作AQUAと特に大きな差はない。
演出が前作と比べて少し進化している程度か。
ただ、前作のAQUAでかなり完成されたシステムだったため、かなり高評価が付けられると思う。
シナリオプレイヤー機能は秀逸。他の作品にも欲しい。
特に、二週目以降読み直すときに真価を発揮する。
また、章ごとの区切りがわかりやすい、あとどれくらいでその章が終わるか判るというのもあって、止め時を見つけやすく、さらに面倒ならば最悪セーブ・ロードを使わなくてもプレイできてしまう。
もちろんセーブ・ロードやバックログ、バックログジャンプなど、普通の機能もきちんと用意されているのでご心配なく。
オプションの設定項目は普通より少し充実しているくらい。
重いエフェクトのON/OFF、右クリックメニューなんかもあり、他の作品でできる事は大抵がある。
ただ、キャラ別の音量調整ができないので、その点は注意。
特に今回は賑やかなキャラが多いのでキャラ別音量調整は欲しかったか。自分は使わないけど。
スペシャルメニューはかなり充実。
背景鑑賞や立ち絵鑑賞、ムービー鑑賞も完備。
更に、音楽鑑賞では、ボーカル曲のFULLも視聴できる上に、ランダム再生、通常再生、ループ再生、単曲停止などの再生設定の変更も可能、シークバーも実装されており、秀逸なBGMも相まって、作業用BGMプレイヤーとしても十分実用に耐えうるだけのシステム。少々重いのが難点だが。
また、今回もダウンロードシナリオ配信に対応している模様。追加おまけシナリオにも期待できるか。
予約特典のドリームオブヒューマンパッチも面白い。
あまり見ない機能としては、わざわざホームページへアクセスしなくとも、ゲームクライアント上からパッチの確認、DLが出来るシステムがある。修正パッチなどは、設定→ヘルプタブのパッチボタンから確認&DL可能。ダウンロードシナリオもゲーム上のダウンロードボタンから自動でダウンロード&インストールをしてくれる。
バグに関しては、自分の環境では何度か読んでる途中にエラーが発生して落とされた。
自分の環境のみなのかどの環境でも発生するのかは不明。
システムは全体的に高クオリティで安定している。
個人的には、こことオーガストのシステムが頭ひとつ抜けてる印象。
総評としては、トゥルールートの出来は前作AQUAに劣るが、そのほかの面では同等、またはこちらのほうが上といった感じ。
ただ、こういった作品ではトゥルーの出来は重要なのでこの点数とした。
シナリオ面以外では全体的にある程度高クオリティで、絵の作画崩壊が一部気になる、サブキャラのルート分岐に不満が残る、シナリオ面での細かい設定の説明不足など細かい点を上げれば切がないが、そういった点を気にしなければ良ゲーと言えるのではないか。
このメーカーは前作、今作ともにそれなりの物を出してきているのし、ユーザーの希望もなかなか聞いてくれているので、今後もかなり期待の持てるメーカーなのではないか。
今後の作品にも期待したい。