この大空に、翼をひろげて。感想。
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この大空に、翼をひろげて | |
PULLTOP 2012/5/25 | ||
好きになるって、こういうこと。きっと | ||
原画 | 八島タカヒロ、基井あゆむ、田口まこと | |
シナリオ | 紺野アスタ、七烏未奏、奥田港 | |
MUSIC | TWOFIVE |
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プラス ポイント |
爽やか テキストがとても読みやすい 演出が凝っている | |||||||
ボリューム有り ”青春” | |||||||||
マイナス ポイント |
重い スキップが遅い あげはルート | ||||||||
Story | 90 | ![]() |
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シナリオ | 85 | テキスト | 95 | 世界観 | 85 | ボリューム | 90 | ||
Graphic | 75 | ![]() |
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立ち絵 | 85 | イベントCG | 65 | 背景 | 80 | 塗り | 75 | ||
Sound | 85 | ![]() |
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ボーカル曲 | 90 | BGM | 85 | 声 | 75 | 曲演出 | 90 | ||
System | 85 | ![]() |
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機能 | 80 | 演出 | 90 | 設定項目 | 80 | UI | 85 | ||
Other | 85 | ![]() |
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キャラクター | 80 | Hシーン | 85 | ゲーム性 | - | 個人的補正 | 85 |
あくまで個人的な感想です。また、点数は公開後も若干上下することがあります。
"レビュー"などという大それた物ではなく、あくまで感想という事でひとつ。
点数は主観によるものです。
この記事は、"これはひどいな"でアップしていた物を加筆修正したものです。
以下追記から本文。
ネタバレが含まれます。
とてもいいゲームだった。
青春!って感じの爽やかなゲームで、テキストの質も良く (特に紺野アスタ担当部分) 面白かったです。
ただ、夏ノ雨もそうでしたが、自分のような(死んだ青春を過ごしてきたような)人種にとっては劇薬です。
もれなく死にたくなります。
・・・まあこれで中の人が変わって心配されていたPULLTOPも暫くは安泰でしょう。
ただ、ルート別にクオリティの差がかなりあり、この辺りは複数ライターの弊害かなぁという気も。
それではいつも通り順を追って書いてく。

最初は小鳥、あげは、亜紗ルートのみ可能で、亜紗ルート終了後に姉妹ルート、どれか1ルート終了後に天音ルートがアンロックされるようです。
多分。
推奨攻略順は、小鳥→あげは→亜紗→姉妹ルート→天音かと思われます。
シナリオ・テキスト
ライターによる出来の差ェ
個人的には、天音ルート≒小鳥ルート>共通ルート>>>姉妹ルート>あげはルート>亜紗ルート
くらいの出来だったと思うのですが、あげはルートのほうが評判悪いですね。
とりあえず推奨攻略順の順に感想を書いていく。
・共通ルート
ボリュームがかなりあります。
だからといってダレることなく、楽しく読み進められて良かった。
テキストが本当に良かったおかげだと思う。
話の題材が、グライダーというあまりなじみのない物なのもあり、説明にそこそこの文章量が割かれていますが、割と読みやすく、すんなり頭に入ってきます。
初のフライトのシーンはその演出と音楽もあって物凄く良かったと思います。
体験版終了部分からもそれなりにボリュームがあります。
亜紗依瑠姉妹の合流から新しいガレージの確保辺りまで。
ただ、天音ルートだけは体験版部分の前で分岐するようです(確か。)
・小鳥ルート
凄く良かった。
特に終盤の、紙飛行機の意味に気がついてからの怒号の展開。
主人公もマジイケメン。
いちゃいちゃシーンもきちんとあって、かなりシナリオのバランスが良かったと思う。
テキストも共通と同じく良かった。
あげはルート
テキストはまあそこそこ面白く読めたとは思う。
ただ、煮え切らないあげはの態度に凄くイライラする。
更に行動の理由が弱い。
あげはがあそこまで頑なに主人公の告白を無視するのは意地を張っているからだと考えたとしても、ガレージに顔を出さないで一人別行動をとる理由が弱い。
天音先輩がいなくなったにも関わらず、モーニンググローリーをあそこまで必死になって飛ぼうとする理由もわからない。
最後にあげはがいろいろ根回ししてくれていたのが発覚するのだけれど、頑なに主人公やプレイヤーにあげはの行動を隠し続けるのは本当にストレスしかたまらない。
せめて中盤までにはあげはも主人公の告白を受け入れて、”一緒に”頑張っていく!という風にするべきだった。 あとほたるちゃんがかわいい。物凄くかわいい。
人気投票一位も夢じゃないぞ!がんばれほたるちゃん!
・亜紗ルート・依瑠ルート
双子ルートは若干テキストの質が落ちたように感じる。
自分は同じ七烏未奏さんの"すきま桜と嘘の都会"も体験版でギブアップした口なので、単に七烏未さんのテキストが合わないだけかもしれない。
あと、亜紗ルートはシナリオも手抜き感が。
ただ、翼のない凡人としての亜紗、翼を持っている天才としての依瑠、という、二人とその対比は上手くいっており、ライターが書きたかっただろう事は良く伝わっていたと思う。
ただ、なんで依瑠ルートじゃなくて双子丼ルートなの・・・?
シナリオの内容はどう考えても依瑠ルートの内容じゃん!双子の対比を書きたかったんじゃないの?
3PがやりたかったというならSweetLoveパッチでやるべきだったのでは・・・?
・・・天音ルートと被るから?
・天音ルート
イスカの回想を交えて話が進行していく。
今作最大の不快キャラこと、飛岡先生がソアリング部もとい天音先輩を目の敵にする理由なんかも。
何故イスカは天音に一言もなしに去っていってしまったのか。とか。
イスカからの手紙を読んで沈んでしまった先輩に小鳥が掛けた言葉なんかはとても印象に残ったし、なかなかキャラ設定も良く練られているなあと感じた。
あと天音先輩マジ天然。
1年間全く会っていないにもかかわらず主人公と恋人同士だと思い込んでいたのは流石に笑った。
普通振られたと思いますよね。流石に。
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テキストはギャグに頼らず、読んでいて面白いとても質の高い内容だったと思います。
シナリオも、王道ながらよくできていて、演出と相まってクライマックスではかなり魅せてくれました。
特に紺野アスタ氏が担当した、小鳥ルートと天音ルートの出来はピカイチ。
ボリュームもかなりあって、なおかつ最後までだれずに読める良質なテキストと、最後はきっちり魅せる。と、凄く良く出来た作品だった。
そしてなにより、とにかく爽やか。トコトンまでに爽やか。
背景から塗り、BGM、ボーカル曲まで全て世界観を盛り上げるのに一役買っていると思う。特に塗り。
爽やか青春物という言葉がここまで似合う作品もめずらしい。

絵師は八島タカヒロさんと基井あゆむさんの複数絵師。
基本的に違和感なく溶け込んでいて、複数絵師であることに対しての不満はありません。
ただ、八島タカヒロさん担当のキャラの表情の作画が若干崩壊している事が結構あったのが気になりました。
イベント絵ではHシーンの表情になんか違和感を感じたというか、好きになれない感じ。
多分、というか間違いなく、垂れ目になっているのに違和感を感じるんでしょう。
特に天音先輩のシーンに顕著。小鳥はまだ少なめかな?
単に好みに合わなかっただけかもしれないですが。でもなんか気になった。
あとは立ち絵の、小鳥の姉、ひばりさんのある1カットが完全に寄り目になっていて物凄く気になりました。
そこそこ頻繁に出てくる表情だったので、そのカットが登場するたびに違和感で悶々とする羽目に。
基井あゆむさん担当のキャラは、基本はいいんですがHCG体のバランスがたまにおかしい気が。。。
これは文句があるほどのものではないけど個人的に気になったのでとりあえず。
それ以外のCGに関してはとても良かったと思います。
立ち絵は基本はかわいいですし、イベントCGも上記の事を除けば(普通のシーンは)文句なしです。
背景は世界観に合わせて爽やか。
塗りも明るくてよかったと思います。

OP、ED曲どちらもかなりの良曲。
特にここぞというときに掛かるのは、シーンを盛り上げるのに一役かっており、印象に残る。
BGMも世界観や空気に合っていてなかなか良かったのではないかと思う。
文句なし。
ただ、ボーカル曲が2曲というのは少し残念かなとは思う。せっかくだからもうひとつ別にED曲も欲しかった。
特典のサントラも手に入ってよかったし、別売りのボーカルCDもかってよかったと思う。ただCDの誤植はちょっと残念。延期してるのに・・・

ここでは、パッチを当てた後のものについて書きます。
基本的には満足です。
過去ログからのジャンプはパッチで実装されましたし、マウスジェスチャ機能は地味に便利。
いくつか不満な点。
背景鑑賞、立ち絵鑑賞がない点。サウンド鑑賞のプレイヤー機能が貧弱(ループ再生、シャッフル再生などの機能がない等)
背景鑑賞に関しては、このゲームの背景はかなり良かった事もあって非常に残念。
立ち絵鑑賞についても同様。
サウンドモードも、最低でも再生オプション辺りは欲しかった。
演出は相当良かったと思う。
所々で3Dムービーが流れたりして、とても臨場感あふれるものになっていた。
離陸時のエフェクトなんかも良かったし、エロゲーとしてはかなり上質かと。
この点は本当に凄かったと思う。
あと、大事なシーンでBGMにボーカル曲が入るのはとても良かった。
ゲームが重いという意見があるが、自分の環境では特に重さは感じなかった。
スキップが遅いという点についても同様。少なくともドラクリオットよりはずっと早いし、不快感を感じるレベルではない。
普通の環境でどの程度の速度かは適当に撮った下の動画参照。
自分はエロゲーのプレイ動画は流石にアウトだと思うのだが、体験版部分、序盤も序盤なので許してください。
次の選択肢へ進む機能は、自分としては既読部分を飛ばす時、スキップモードにしながらストーリーを思い出しつつ飛ばすので必要なかったが、たしかにあったほうがいいかもしれない。
総評。
凄く良かった。
とにかく最後まで読ませる良質なテキストと爽やかなストーリー。
特に紺野アスタさん担当部分のクオリティはぬきんでていた。
システムや演出も萌えエロゲーの中ではかなり上位の出来かと思う。
エロも手抜きではなくしっかりあったし、背景などのグラフィックもよかった。
文句なしの良作。是非やってみてほしい。